突然ですが、問題です。

まずは下の3枚の写真をご覧いただき、AとBの違いを見比べてください。どちらかがイランの職人が作ったもので、どちらかが日本の職人が作ったものです。

 

問題:AとB、どちらがイランの職人が作ったもので、どちらが日本の職人が作ったものでしょうか?

 

 

正解は・・・

 

 

正解:Aがイランの職人、Bが日本の職人

どちらも一本の鉄棒を叩き、曲げて作っているのですが、Aは当店で扱ってる商品(イラン製)で、Bはそれを真似して日本の職人が作ったものです。Aはカーブが美しく、先もきれいに潰されて横から見てもしっかり収まってるのに対し、Bはカーブもいびつで横からはみ出ています。先も見比べると汚さが目立ちます。

ちなみにBを作った職人は鉄鋼関係の仕事を30年以上やっていると言うプロの方。

鉄のことなら任せとけってことで、お願いしてやってもらったのですが、とてもじゃないけど技術が追いつかないとのことで、早々に退職されました。決して彼も技術が無いわけじゃないんですが、日本でやられてたことと技術の種類とレベルが違うと言うことでした。

 

正直、手先の器用な日本の職人なら問題ないと思っていました。

イラン人は社長のマスディのように大柄で豪快で、どちらかといえば手先が不器用なのだと思っていました。ですが今回のことで考えをあらためなくてはなりません。イランの職人の技術はすごいものなんだなと。そういえば普段は豪快さが売り(?)のマスディも、商品の扱いや梱包にはすごく気を使っています。日本人が思っているより、イラン人は繊細なのかもしれません。

 

技術は伝承されるもの

今回の一件で感じたことは2つです。1つ目は先ほども書いたとおり、イラン人は日本人が思う以上に繊細で高い技術を持っているということ。よく考えてみると繊細で緻密なことで有名なペルシャ絨毯はイランが発祥ですし、今も一大生産地です。

2つ目は技術は伝承されなければならないということです。いくら日本人が手先が器用であっても、今まで作ったことのないようなものを作ることは出来ません。代々引き継がれた技術の伝承ががあってこそ質の高い製品が作れるのです。

日本にも鉄を曲げたり叩いたりして工芸品にする文化はあります。例えば日本刀や鉄製の茶器など、芸術品とも言われる日本の鉄製品は数多くありますが、鉄棒を曲げたり叩いたりして、美しいカーブを作り出すような技術は、技術が伝承されてきた分、日本よりもイランが勝っているようです。今回、Bの飾りを作った日本人の職人ですが、前職では優秀な職人で、部下からもその技術の高さから尊敬を集めていました。ですが今回は上手く行きませんでした。伝承されて培ってきた技術の種類が違うのです。

 

イランには昔から鉄扉や庭柵など鉄で建造物を作る文化があります。

ただ真っ直ぐな鉄棒を組み合わせただけの、通常のデザインのものは日本でも量産品として普及していますが、当地イランでは昔から鉄柵や鉄扉などで自宅を彩ることが富の象徴でした。当店では主に棚受けを取り扱っていますが、傘立てやサイドテーブルなど、比較的大きな商品でその雰囲気を感じ取れると思います。何百年も鉄の棒を叩き、曲げ、芸術度の高い建築資材を作ってきたイランだからこそ、作りだせる品質があるようです。

 

職人

デザイン製作・工房長 Mr.Soltani(ソルタ二)

15歳から鉄を触り、槌をふるい、55年の人生の大半を鉄製品づくりに関わってきました。一作品数百万円はくだらないと言われる世界的なアイアンクラフトアーティストを叔父に持ち、デザインの才能は叔父から先天的にも後天的にも受け継いできたにも関わらず、多くの人が使える、大衆作品の制作の道へ進みました。

「一握りの人間しか楽しめない作品を作るより、多くの人が直に触れる作品を多く作るほうが、私の性に合ってるんだ」

本来、あまり多くを語ることのないソルタニから発せられる言葉は、彼が作る作品同様、重みと温かみがあります。当店の作品のほとんどが、彼のデザインによるものです。そして今も自ら槌をふるい、汗を流して作品を作り続けています。